風の家について

活動方針

理事長挨拶

 

目的とキーワード

 風の家は、刑務所、少年院、少年鑑別所、拘置所などを出て、行き場のない人たちが社会の中で、安定して、再犯をすることなく暮らしていけるよう支援することを目的に設立されました。特に、高齢者や障害者などは、仕事につくことや日常生活を一人で送ることに困難を抱えやすく、そうした対応には専門的な知識も必要とされます。また、入所施設の中で支援を行って、そのまま社会生活に移行できるわけではなく、地域の中で暮らし始めた時にも、その後であっても、さまざまな形で支援が必要となります。こうした出所者・退院者への支援を提供するために、風の家は以下のキーワードを掲げています。

地域の中で 施設を出た後も、拠り所となる「居場所」が必要です。風の家の支援の大きな柱は、いつでもぶらっと立ち寄れる場所を作り、居場所を通じて出所者らの生活を助けることです。
長期の 一般に施設への入所は2ヶ月ですが、障害者などが地域に移る準備はもっとかかります。その後も支援が必要になります。風の家の2つ目の柱は息の長い支援を続けることです。
専門的な 障害や高齢といった問題には、その特性を知り、対応を知っている必要があります。風の家ではこうした問題についての専門的な知見をもとに彼らへの支援にあたっています。

活動内容

 風の家の支援は、刑務所や少年院などを出て社会に入る時の「入口」、地域生活が始まってからの「社会生活」、さまざまな理由で再犯に至った時に次の立ち直りにつなげるための「出口」、の3つの段階に分けて組み立てられます。それぞれの段階で必要になることが異なるためです。

入口

 この段階でのもっとも重要なニーズは、住む場所があることです。そのためまずは緊急時の宿所提供(食事の提供を含む)を行ない、そのうえで生活の再建に必要なプロセスとして、身分証明書や社会保険、障害者手帳や年金手帳などの手続き、職探し、借金の整理、金銭管理や整容などの日常生活指導、通院、カウンセリング、などの支援メニューをそれぞれの状況に合わせて提供しています。これら必要な支援メニューを考えるために、個別の入所時面接を実施した上で支援計画を立てています。生活再建の目処が立ったところで、家探しをして、次の段階に移ります。

社会生活

 地域での生活に移ってからは家庭訪問や電話相談、居場所の提供によって、それぞれの生活状況を見守り、気軽に相談のできる体制を整えています。仕事につくことの難しい障害者、高齢者のために風の家が運営する作業所、あるいは連携している作業所への通所の支援も行います。食事を作ることが難しい場合は、食堂での給食サービスを行い、安価で栄養のある食生活を奨めています。時には利用者同士のトラブルもあるため、仲介に入ることも支援の一環です。これらの活動によって社会での生活を継続し、自信をつけ、今の生活を失いたくないという気持ちを持って、さらに進んでいくことを願っています。

出口

 こうした支援を行っていてもさまざまな理由で再犯に至る時があります。ここでの支援は、それまでの支援では足りなかったところを見つめ直し、次の立ち直りにつながるものでなくてはなりません。事件の捜査段階での環境調整への協力、不起訴などでの引き受けはもちろんのこと、勾留されている時には自室の荷物を整理し、面会を行ない、裁判の資料として支援計画書を提出することもあります。これらの活動を通して、本人も、私たちも、足りなかったところを振り返っています。

施設

ぶらっと広島

 居場所と宿所を備えた建物です。1階には作業所が設置され、2階に事務所と居場所があります。3階は宿所、シェルターのスペースとなっており、4階にも宿所があります。4階には食堂も設置されており、退所した後でも利用することができます。事務所の前の居場所空間はとても狭いものですが、社会生活の中で疲れた時に、作業所の行き帰りに、相談がある時に、あるいは何となくの居場所として、利用者が利用しています。「ぶらっと広島」という名前は、風の家の前身団体の名前で、今は施設の名前になっています。そこにはぶらっと気軽に立ち寄ってほしいという思いが込められています。

作業所

 ぶらっと広島の1階に作業所(地域活動支援センターⅢ型)を開設しています。一般の就労が難しい障害者、高齢者を対象に、毎日内職を午前中2時間、午後2時間、間に昼食を挟みながら行っています。ここは仕事の訓練の場であるとともに、生産活動に結びつく社会との接点でもあり、また居場所でもあり、生活の場です。作業所の仲間と、花見や神楽の手伝いなどの季節行事を行ったりもしています。

心理支援研究所

 風の家には、臨床心理学的な支援を行い、それに関する研究を行う、心理支援研究所が併設されています。ここでは、日々の業務として新しく入所した人の支援計画を立てるための入所時面接と、アンケート調査、希望者へのフィードバックを行っています。また、宿所利用者だけではなく、地域で暮らす出所者等への心理療法やカウンセリングも提供しています。研究事業として、科研費による研究の他、司法分野の心理職とともに司法心理療法研究会を開催しています。

沿革

ぶらっと広島

風の家の前身は「ぶらっと広島」という任意団体でした。設立は2007年頃6月ごろまでさかのぼります。従来の更生保護施設の枠組みでは対応できない、長期の、社会生活まで含めた、また専門的知見を生かした支援を求めて、マンションの一室を借り上げる形で新しい刑務所出所者、少年院退院者らを支援する施設を作りました。それが「ぶらっと広島」です。2009年5月の開室以来、それまでの更生保護施設では手の届かない人々の就労・日常生活の支援を継続的に行なってきました。

風の家

 その後利用者が増えてくると、その当時の部屋では活動が難しくなってきました。その一方で、支援を手助けする現理事たちが少しずつ集まってきてもいました。ちょうど新しい再犯防止の取り組みが始まろうかという時期であり、2010年6月、これまでの活動を社会の中に位置づけ、公共の福祉に貢献できるようにと、団体をNPO法人とすることを決めました。それから団体の規約を作成し、団体名を「風の家」として、「ぶらっと広島」の名前は活動拠点の名前として引き継ぐことにしました。2010年9月にNPO法人設立の申請書を広島県に提出し、2010年12月に認証を受けました。
 時を同じくて、2011年に自立準備ホーム(サテライト型更生保護施設)制度が始まります。風の家では同年3月にアパートの一室にて宿所および居場所を開設し、広島保護観察所より自立準備ホームとしての認定を受けました。同時に広島家庭裁判所より、少年の保護観察、試験観察を行う補導委託先としての認定を受け、活動の形を整えていきました。この時期はまた、司法と福祉の協働が言われ始めた時期で、施策において出所者等の支援は貧困者・生活困窮者対策の一部として考えられるようになった時期でもありました。そのため、風の家の活動でもこの年から生活困窮者への対応を行うことになり、さらなる利用者の増加を迎えました。同年10月、もう一部屋を借り受けし、2012年4月からは、広島市のシェルター事業も行っています。
 翌2012年5月、現在の施設の入っているビルを借り受け、定員13名の宿所、駐車場、駐輪場、食堂、作業場、居場所、事務所を備えた体制へと移行しました。利用者が増えると、社会生活に移行しながら、一般の仕事につくことの難しい障害者、高齢者の数も増えてきます。こうした人たちが毎日の生活に張り合いをもち、生産的な活動につくことができるよう、それまで作業場で行っていた内職を、施設そばのアパートの一室を借りてそこに移し、2014年1月、広島市より地域活動支援センターⅢ型としての認可を受けました。これによって彼らの毎日の活動の場所ができました。
 こうして刑務所出所者、少年院退所者の支援を行う基礎が固められた2014年4月、理事長が交代しました。風の家としての運営は大きく変わっていませんが、それまで行っていた心理的な支援の実践と研究の機能を、風の家の特色として打ち出すことにし、2014年8月、心理支援研究所が開設されました。データの集約、研究活動、研究会や講演への派遣を行いながら、心理的な支援を展開しています。
 2015年6月、ぶらっと広島の1階駐車場部分を改装して、それまでの作業所をここに移しました。これまで狭い中で人がひしめき合うように行なっていた作業が、ゆったりとした明るい空間でできるようになり、作業効率もあがりました。いくつかの島に分かれることができるため、人間関係の摩擦を減らすことにも貢献できると期待しています。(2015年7月現在)

連携機関

司法機関

公的機関

福祉機関

協力雇用主

  • 社会福祉法人 あすなろ
  • (有)シード総合技建
  • (有)ピーアンドピー
  • (株)三興
  • (有)西田総業
  • ぐっさいくる広島
  • ウィング